――その知らせは突然だった。

「あ、そうだ。明日から長期任務に行ってくる」

 夕食の席で、アシュレイが軽い口ぶりでそう切り出した。

 驚いた私とイアンが揃って食事の手を止める。

「二人とも、そんな不安そうな顔をしないでくれ。ただの調査任務だよ」

「アシュレイ……ほんと? キケンじゃないの?」

「危険じゃないよ。行き先は南部の港町だから、何かお土産を買って帰ってくるよ」

 心配そうにしていたイアンが「お土産!」と目を輝かせる。

「あそこは漁業が盛んだから、干物とかはどうだ?」

「僕、臭いお魚きらいだよ」

 お菓子のお土産を期待していたのだろう。干物という渋すぎるチョイスにイアンのテンションは急降下。明るい笑顔から一転、不満げに口を尖らせた。

 表情豊かな七歳児に、私とアシュレイは顔を見合わせて微笑んだ。
 
 
 その後、イアンを寝かしつけた私はアシュレイの部屋を訪ねた。
 真実を聞くために。
 
 コンコンとノックすると、すぐに扉が開き中へ通される。

 ソファに腰掛けた私は、任務の内容について改めて尋ねた。