でもね、麗華。あなたの努力や仕事で培った演技力は決して無駄じゃなかったわよ。

 あなたのおかげで、今の私はとっても幸せ。だから、ありがとう。
 
 
 心の中で前世の自分に感謝すると、胸の内から喜びがあふれ出した。きっと自分に宿っている麗華の魂も報われたのだろう。
 
 
「ビッキー、にこにこしてる。ご機嫌だね」

「ええ。とても幸せだなぁって」

 私は大切な家族にほほ笑み返し、夢のような幸福なひとときを噛みしめた。
 


 その後、いつまでも家族三人で仲良く暮らしたいです――と書かれたイアンの作文は、優秀作品として学校の廊下に貼り出された。

 だが、何故かしょんぼり落ち込むイアン。

 聞けば、余った空欄に『キャシーと結婚できますように』と出来心で書いたのを、すっかり忘れて提出してしまったらしい。

 それが廊下に貼り出され、公開告白のようになってしまったのだとか。

 誕生日会おわりの深夜テンションで、勢い余って書いてしまったのだろう。

「ぬぁぁぁ、恥ずかしいよぉ!」と悶絶するイアンを一日かけて慰めたり。

 キャシーの父・マクガレン中隊長に『お前の所の坊主はませてるなぁ!』と大笑いされたり。

 
 あちこちで色々な騒動が起きつつ、日々は騒がしくも幸せに過ぎていくのだった。