夜も深まった頃、幸せな余韻を残しつつ誕生会はお開きとなった。

「もう終わっちゃうの。なんか寂しいよ……」

 イアンがしょんぼり肩を落とす。いつもの寝る時間はとっくに過ぎているが、興奮で目が冴えてしまったみたいだ。

 もうちょっと遊びたいと珍しく駄々をこねるイアンを見て、私とアシュレイはさりげなく互いに目配せした。

「賑やかなパーティのあとって、寂しくなっちゃいますよね。ではイアン様、アシュレイ様のお部屋でもうちょっと遊びましょうか」

「いいの?」

「今日は特別。少しくらい夜更かししても良いだろう。イアンの好きな人生ゲームでもしようか」

「するっ!」

 アシュレイの部屋に駆け込んだイアンは、テーブルの上に置かれているクマ人形に気付いた。

 こちらをくるりと振り返り「もしかして、あれ僕へのプレゼント?」とまん丸お目々で尋ねてくる。

 アシュレイがうなずくと、わぁ〜と言いながらテーブルへ猛ダッシュ。「クマさん人形、かわいいねえ」と言いながら、ぬいぐるみに頬ずりした。