それから数日後の夜。
 クラーク邸のダイニングルームでは、イアンの誕生日会が開かれていた。

 貴族家の誕生会では、お客様を呼び盛大に祝うのが普通だが、今回はクラーク邸の人々だけのホームパーティー。

 大切なイアン坊ちゃまの誕生日ということで、みんなやる気満々。
 
 室内はバルーンやタペストリーで飾り付けられ、テーブルの上には豪華な料理が所狭しと並んでいる。

 お誕生日席に座ったイアンは、私お手製の『今日の主役』タスキをつけてウキウキ顔。
 
 メイドが恭しく運んできた大きなホールケーキを前にして、うわぁ――と歓声をあげた。
 
 みんなでバースデーソングを歌い、口々に『誕生日おめでとう』と祝福の言葉を送る。イアンは終始にこにこしていた。