「――ママに会いたい、か」

 その日の夜。イアンを寝かしつけたあと、私はアシュレイに例の願い事について相談していた。

「ジェナ様が残したメッセージはないんですよね?」

「えぇ、亡くなったのが突然のことだったから」

「そうですか……。何とかして、イアン様の願いを叶えてあげたいんですけど」

 とはいえ、亡くなった人を蘇らせる(すべ)はないし、記録物もない。他に良いアイデアも思い浮かばない、まさに八方塞がり。

 こめかみを押さえ「うーん」と唸っていると、アシュレイが「あれは?」と机の上にある紙袋を指差した。

「それは店長から、イアン様の誕生祝いに貰ったんです。クマちゃん型魔録音機、三体セット! メッセージを吹き込んでプレゼントしてやりな……って……」

 急に黙り込んだ私に、アシュレイが不思議そうな顔をした。