あははは~、そりゃ、前世の苦い記憶があるものですから……。

「そうですかねぇ。まぁまぁ、そんなことは気にせずに。もう一杯、お酒どうぞ~」
 
「……なんかこの酒、やけに薄いような……。水みたい」

 ええ、百パーセントお水ですからね。
 
 すっかり酔って真っ赤になったアシュレイが、まじまじとグラスの中身を見つめる。私はほほ笑み、彼の肩に頭を乗せた。

「私は、三人で幸せに暮らせればそれで満足です。これ以上の過ぎた幸福も、他人の不幸も要りません」

「……うん。そうですね。俺も、あなたとイアンが幸せなら、それ以上に何も要らない」
 
 アシュレイの唇が私の額に優しく触れる。労るように愛するように。

 額からまぶた、頬へと順に口付けが施され――。
 最後に、深く甘やかに唇を重ねた。