「……だからずっと警戒してたのに、少し油断した隙に…瑠花が落ちた時血の気が引いた。すごく怖かったっ…!

僕は助けられたはずなのに……瑠花に怖い思いさせて、怪我させてごめん…! 助けられなくて本当にごめん…っ」



その酷く後悔と苦痛の滲んだ表情と声で、吐き出された言葉に心が震えた。


これ以上苦しんで欲しくなくて、彼の両手をより強く握りしめる。



「違う。 理斗は何も悪くないよ。
理斗がいなかったら、救助を呼んでくれるかも分からない、川路くんへの不安と心細さでいっぱいだった。
理斗が傍にいてくれたおかげで、 川路くんに与えられた恐怖心にも震えずに済んだの。
だから理斗…もう十分助かったんだよ」



声を柔らかに微笑んでそう言うと⎯⎯⎯


彼の瞳から静かに一筋の雫がこぼれ


窓から射す夕日に照らされて瞳が輝いた。



そのあまりに綺麗な様に

彼の頬に手を伸ばしそっとぬぐうと…

彼はその潤んだ目を大きく見開いて固まってしまった。


その姿がなんだか少し幼く見え、自然と笑みがこぼれる。