「見た目が陰キャだから、頑張って陽キャグループに入らなきゃ!陽キャに好かれなきゃ!」

少女ーーー西宮真里(にしみやまり)はそう決意しながら拳を握り締めた。



高校一年生の夏、東北出身の真里の姿はビルが群れる大都会・東京にあった。真里は父親の仕事の都合で東北を離れ、東京に引っ越すことになったのだ。高校生の真里は、都会の高校に緊張を覚えながら一歩足を踏み入れる。

「東北から来ました。西宮真里です。よろしくお願いします」

真里がそう挨拶をすると、教室からは少数だが拍手が聞こえてくる。あまり歓迎されていない雰囲気に、真里は少し傷付きながらも「そりゃそうだよね」と俯いた。

(美人な転校生や可愛い転校生なら拍手喝采だろうけど、こんなブスじゃね……)

俯き陰キャが全開に出てしまっている真里に対し、担任の先生が言う。

「西宮の席はあそこだ。あそこを使ってくれ」

「は、はい!」

先生が指差したのは、教室の後ろにある窓際の席だった。真里はかばんを握り締めながらそこまで歩く。そして、自分の隣の席の人に目を向けた。