「わかった。母さんも身体大切にしてほしい。そして、一度日本に戻ってきて欲しい。彼女と一緒に会いたいんだ。そして父さんを説得して欲しい」

 「ふふふ。結局はそれが目的ね。私に会うのは二の次でしょ」

 「……母さん!そんなわけないだろ!」

 「いいのよ。私は嬉しいの。黎がひとりぼっちにならないですんだ。あなたが女性に構えているのは私達夫婦のせいだと思っていたから。あなたの姉達にも少し原因があるけれどね」

 「ああ。まったくだよ。姉さん達とは違う。彼女をやっと見つけたんだ」

 「わかったわ。おめでとう。大切な女性を泣かせてはダメよ、いいわね」

 「ああ。耳にたこができるくらいその台詞を聞いてきた。やっと実践してみせるときが来たよ」