「どういうことだ?」

 神楽は黎をじっと見つめた。

 「百合はお前の相手には難しいかも知れない。俺はそれもあって、反対だったんだ。いずれ、百合が泣くときが来ると思っている」

 黎は目をむいて驚いた。何か知らない大事な事実を見落として勢いでここまできたことを実は少し認識していたからだ。百合のあの自分に自信がないネガティブな性格。最初に自分は黎と友達になれるような人間じゃないと言っていた言葉。嫌な予感がした。

 「教えてもらってもいいか、お父さんのこと」

 「百合が自分から話すまで待てと言いたかったが、そうも言っていられなくなった。父親が百合に接触してきた。売れたからだろうな」