「ほら、ラスト!」
「うんっ…」

ナナミの手を掴み、1番上にたどり着いた。



「うわぁ…」




もう外は暗い。
ライトアップされたテーマパークの街並みが見える。
本当に物語の中にいるみたいだった。
街のみんなが歩いていて、何かを食べたり、誰かとお話していたり、あちらこちらに幸せがたくさん散りばめられている。

一人一人が、主人公、みたい…


「ニカ…」


今日1番の真面目なトーンでナナミは話し出す。
私の手はいつの間にかナナミの手と繋がっていた。


「ここって、物語をモチーフにして作られているんだって」
「うん、そんな気がする」

だってまるで異国に来たみたいだもん。
全てが非現実的。
ひとつの現実は、隣にナナミがいてくれることくらい。


「ニカ、今日綺麗すぎて花嫁かと、思っちゃった…」
「…はな、よめ……?」

私は、はっとした。
何気なく選んだワンピースだけど、色は白。

そのことに気づいてナナミの方を少し見る。



少し風に吹かれて靡くワンピースの裾、綺麗な黒髪、普段の無邪気な顔とは違い大人な端正な表情。


「それは、ナナミの方なんじゃない?は、な、よ、め、さん!」

「もう、人をいじるな!」

しかめっ面をするナナミ。
でも、本当に綺麗。