だんだん日が落ちていく。
私は園内の真ん中に聳え立っているものが、気になっていた。

「あれ、気になるの?」

私はこくりと頷く。
お城みたい。まるで童話に出てくる、お姫様が住んでいる場所みたい。

周りの照明がより光り輝く。
「行ってみようか」と、ナナミが私をお城のようなものの近くまで案内する。

たくさんの人たちの間をぬって歩いていくと、お城の入口までたどり着く。
白いレンガのような模様の見た目、高さがとても高く近くで見あげると天辺が見えない。
男女カップルが何人か私たちの横を通って、建物の中に入っていく。

「中、階段みたいだね」
「うん。」

「やめようか?」

私が運動が苦手で体力がないことを知っているからか、来た道を引き返そうとする。


「待って」


ナナミは何も言わず少し歩いたところから、私の元へと戻ってくる。

『分かったよ』と言わなくても聞こえるかの表情で。

そして無言で手を引き、中に入る。
カップルばかりの中、女2人でここを昇っていくなんて、なかなか不思議な目で見られるものだ。

「はぁはぁ…はぁ」
「あと少し!ほらー」

先に進んでは私の方へ引き返してきて、また先に進んでは引き返す。


離れていきそうなのに、離れない…