梅雨が開け、気温も上がり、季節は夏だ。

ナナミと付き合って1ヶ月。
今までと変わったことは全くない。
キスをしたのも"あの時"だけ。

周りにも付き合っていることは公言していない。

付き合うということは、どういうことなのか。

恋愛の定義がよく分からない。


「二力、おはよー!」
「おはよう、ナナミ。」

ナナミはいつも以上に元気そう。
バッグを持つ手には、バッグ以外のものも持っている。

「ニカ、貯まった?バイト代」
「たしかに、使っていないから…」

私のアルバイト代は、初めて働いた時にいただいた3000円が入った引き出しに全て閉まっている。
2ヶ月以上は働いているから、それなりには貯まった。

「じゃん!」

ナナミは私の机に冊子を置いた。

「ここ、行ったことある?」
「小さい時になら、ある気がする」

確かにここなら日帰りで楽しむことが出来る。
ナナミが持ってきた冊子に載っていたのは、あるテーマパークだった。
そういえば、このテーマパークのキャラクターのぬいぐるみをお父様が海外から送ってくれた時があった。
海外でも人気のようだ。

「私行ったことなくて、夏休み一緒に行こうよ!」

これはつまり…


「初デート、ということでよろしいのでしょうか?」