目の前の黒髪の少女は、私の方に手を伸ばしそう言った。

私はその手に自分の手を重ね、そして立ち上がった。


不思議な人。


「いえ、綺麗な花が咲いていると思いまして眺めておりました。」

私はことの理由を話す。

黒髪の少女は吹き出すように笑った。
太陽のような笑顔だと思った。

釣られて私の口角も上がる。


「良かった~、なかなか花見てる人なんていないから」

「…?皆さん、こんなに綺麗な花を見て登校していらっしゃるのでしょう?羨ましい限りです」

黒髪の少女は不思議そうな目をして私を見てくる。

私、何かおかしかったでしょうか?


「あ、そうだ。」

彼女は私の制服を指さす。

「同じ学校!一緒に行こう!」


"一緒に行こう"


その言葉がとても嬉しく感じた。

「はい、行きましょう」


太陽のような明るい少女と、学校へと向かった。

春風が何か新たな始まりの背中を押してくれているようだった。









学校へ到着すると、彼女は先生に呼ばれているのか職員室へと向かっていった。

私は新しいクラスを確認し、新しい教室へと向かう。


先程の明るかった気持ちは一転、私は不安になる。