「ケンさん、私の父なの」

「お父様、だったのですね…」

意外だ。
確かに年齢的には私の父と同じくらいだと思ったし、父親であっても違和感は無いはずだ。
でも、


「…似てないでしょ。」

「…正直、思ってしまいました」

「よろしい!」

一瞬、ナナミさんの顔が寂しそうに見えた。

顔は笑っている。
声だって明るい。

でもそれだけでは無い、何かを感じ取ってしまった。

人様の家庭の問題に足を踏み込むのはあまり良くないこと。
私はこれ以上は深堀をすることは出来ない。


人それぞれ家庭の事情は違う。



「ニカは兄弟とかいるの?」
「いないです。」
「いいなぁ、うらやましい」

「…ナナミさんはご兄弟いらっしゃるの?」

「うん。3つ子なの!」

ナナミさんはまた笑って、指で3本指を立てた。

「3つ子の1番上と真ん中が女の子で、1番下が男の子なんだ。まだ小1だからちっちゃくて可愛いんだよ」


ナナミさんに、妹と弟
3人もいる

ナナミさんのことを少し知ることが出来て嬉しくなった。

「下のご兄弟がいるって、どんな感じなのですか?」

柄にもなく知りたいと思ってしまった。


"志崎 奈々美"


という1人の人間をもっと知りたい、と…