『先輩!連絡がないから心配しましたよ!』
「ごめんね。」

『話って、なんですか?』
「会って話しがしたいの。」

私はケジメをつける。








お昼休み。
いつもの場所。
いつもと同じ、距離なはずなのに。

少し遠く感じる。
そして足がなんとなく竦む。


『今は、この今しかないんだ。』

レイさんの言葉を思い出す。

私はお母様のような後悔はしたくない。
私は自分に嘘をつきたくない。

止まっていた足が動き出す。



「ニカ先輩。待ってましたよっ」

いつもと変わらない美咲。
その笑顔を見ると胸が苦しくなる。

今から自分が言うことが、美咲を傷つけることをしっているから。

「大丈夫です。…私強いですよ?」


美咲、気づいてた…?


明るく振舞ってみせるその姿が、本当なのか嘘なのか分からなくなってしまう。

「美咲…」


言わなきゃ…




「誰かー!誰かー!!!!」




私が口を開き、話そうとした瞬間、大きな声が校庭に響き渡った。

2人でその声の方へと向かう。

泣くような声、助けを求める声、救急車のサイレン音、
外側がへこみ傷だらけの車、


真っ白なセーラー服が赤い血に染まっていく