部長は真剣な表情を浮かべながら、先生に言った。
「そうですね。部長はサーブ増やしたばかりだけど、あと二つは増やして、角度変えて回転をかければ、相手を油断できるかもしれないからね」
 先生はアドバイスをしてから他の先輩たちを見た。
「試合について、明日まで卓球ノートに書いて下さい。長谷くん試合見て言うことある?」
 先生の近くにいた長谷くんに向かって、聞いた。
「…二つ問題あります。ダブルスはコミュニケーションがまだ足りてないです。作戦を考えているけど二人とも分かり合えていない。シングスの人たちは相手が知り合いだから甘く見過ぎです。僕からは以上です」
 長谷くんは柔らかい雰囲気は消えて、しっかりとした目に変わり、先輩たちに言い放つ。
「長谷くん、ありがとう。そうだね、みんなも長谷君が言ったこと意識してやってみて。今日はこれで終わり。明日もあるからゆっくり休んで下さい」
 先生は笑って言った後、先輩たちはありがとうございましたと挨拶を終えた。
「今日見学に来てくれてありがとう。女子卓球をやるって人は少ないから、六名来てくれるなんて部活始まった以来、初めてよ。嬉しいんだからね、今日見てどうでした?」
 見学者たちは先生に呼ばれて、先生は言う。
「先輩たちの試合見て、感動しました。卓球が面白い競技だと思いませんでした」
 私はすかさず返事をした。
「私も入りたいと思いました」
「……面白いです」
「…いいと思いました」
「…………いいですね」
「……分かりませんが、なんかワクワクしました」
 他の見学者も私の言葉から始まり、先生に今日のことを伝えた。
「そうですか…。皆さんがここ女子卓球部に入ってくるのを楽しみにしています」
 先生は見学者六名に対して、優しく穏やかに私達に言った。