シングル四人、ダブルス一組で行われた。先輩たちはさっきまでメンバーと笑っていたのに、試合が始まると真剣な顔になっていた。その姿を見た私は目を奪われた。
 スポーツの試合はオリンピックで見てはいたが、集中して見ることはなかった。
 今日、初めてだった。
 試合はお互いラケット交換してから、じゃんけんをする。勝った方がサーブをする。
勝った方から試合が始まる。そこからは、相手の様子を見る。相手がどうくるのかなどをよく見て、トスを返す。私は先輩たちの試合を見ながら、感じた。
 先生は先輩たちの後ろ姿を見て、プレー姿を見ていた。長谷くんは、体育館を歩き回って、試合光景を両腕組んで考えていた。私たち、見学者は試合を見ていた。
 私は先輩たちの試合が終わると、見学者五名の顔を見た。五名とも口を開けていた。
 見学者全員気になってしょうがない。幼馴染ふたり組は先生の方に行った。
 先輩たちの試合は終盤になり、先生に何か聞きに行った。
「先生。なんでみんな上手なんですか」
 幼馴染のひとりが興味津々に聞いていた。
「女子卓球部はみんな入ってからやり始めたんだよ。毎日コツコツと練習をしてここまできたんだよ。きみたちも一生懸命にやればここまで出来るようになる。入部したら、違う光が見えてくるかもしれないから、ぜひ、卓球部に入ってきてね」
 他の見学者たちの視線に気づいた先生は幼馴染ふたりと見学者たちを向いて、言った。
 幼馴染ふたりは同時に返事をして、先生は試合が終わったことを確認すると、先輩たちに集合をかけた。先輩たちは汗をタオルで拭きとって、先生の方へ向かった。
「試合してみてどうでした?部長から」
 先生は指名した。部長はそうですねと前置きをしてから、声を発した。
「相手と対戦してみて、サーブ五パターンしかないので、増やさないと感じました」