長谷先輩は携帯を弄っていたのかジャンバーに携帯を入れていた。
「長谷くん…あっ、先輩だった…」
 私は思ったことを口にしたので、思わず口元を手でおさえた。
「…あっ、いいよ。長谷くんで。一年違いだし」
 長谷先輩と呼ぼうとしていたが、長谷くんのまぶしい瞳がなにも言えなくなった。
 私は分かりましたと返事をした。
「じゃあ、練習する?」
 長谷くんはジャンバーをぬいで、手にはラケットを持っていた。
 私ははいと返事をした。荷物を床に置いて、鞄に入っていたラケットを取り出した。
 ジャンバーをぬいで、タオルを手に持ち、卓球台に向かった。
「始めるよ。レシーブをしていくから。僕がどこかに球を出すから、それを打っていて」
 長谷くんは私に行くよ~と言ってから、球を出した。
 球を左右前後に出すので、レシーブを受けるだけではダメ。両膝をかがんで、前にきた球を足を出しては、違う球がきたら後ろに下がった。それを打ち返す。
 球には瞬時に反応しなくてはならない。その為にやる気をつけるには、声を出す。
「よし……」
 私は長谷くんが出す球に反応した。十分したら、ゼェゼェと息を切れた。
「大丈夫? 少し休憩する?」
 長谷くんは気を遣ってくれたのか手を止めて、聞いてくれた。
「…はい…」
 五分間の休憩を挟んだ。
 長谷くんは休憩中に水筒を持って口に運んでから、私に声をかけた。
「如月さんさ、なんで卓球始めたの?」
「遊びだったんですけど先輩たちの試合見ていたら、やりたい気持ちが強くなったんです」
 私はどう反応するか分からない長谷くんの顔色を見た。
「やりたい気持ちって大切だよね。僕も卓球見た時は目を輝かせて見ていた。分かるよ」
 長谷くんは優しい声で私に言う。背が高くて、勉強・運動もできて、文武両道。
「…はい、ありがとうございます」
「じゃあ、練習再開しますか」