「一番強い派手集団と情報集めてきます。築、行くよ」
 花音先輩は築と名前を呼んで、右腕を引っ張っていた。
「イヤなの分かるけど。強いチームとつながって、勉強しないとうちら弱くなるんだよ」
 七海先輩は築先輩の左腕を引っ張って、言う。
「分かってるけど……」
 築先輩はそう言ってから、下を向いた。
 花音・七海先輩ははいはいと言ってから、築先輩の両腕を掴んで連れていかれた。
「分かってるけど……いや~」
 築先輩は助けてと言いながらも、先輩たちには逆らえない。
「あらあら、まぁ、大丈夫か。んで、一年生たちはどうする?」
 部長は一年生に聞いていた。
「私は、二年生の先輩たちとの情報を聞いてみたいです」
 恵子は自ら手を上げて、部長につたえた。
「いいよ。行っておいで。あとはどうする?」
 部長は他の一年生を見ていた。恵子はお辞儀をしてから、早足で行った。
「…ダブルスうまい人いたら、聞こうかなと思っていて」
 夏海はさあやを見てからうなずき、部長に言った。
「…うん、分かった。ミカと桃はどうする?」
 部長は二人に聞いた。二人ともお互い目を合わせた。
「他校の見たくて…」
 桃は部長の目を見て、楽しそうに言っていた。
「……他の中学校の相手も気になるので…」
 ミカは本を読んだまま、下を向いて照れているのかにやけていた。
 部長はふっと笑ってから、二人が立ち去ったあと、私に声をかける。
「栞はどうする?」
「……私は、コーチの指導してもらおうかなと思います」
 葵先輩に言うと、そうと返事をしてから、葵先輩は同学年四人の所へ走って行った。
私はひとりでコーチの指導に向かった。
「……私ひとりしかいないのか…」
 男性・女性高齢者しかいない。年が近い人は……長谷くん?
「あっ、如月さん。来てくれたんだ。みんな来ないから。暇だったんだよね」