「っ……な、なんで」

「割り箸のストック、バッグの中にあるから大丈夫だよって、言いにきた」



伝言とともに髪飾りを受け取る。


見られたくなかった。でも戻ってきて良かった。

色んな思いが脳内で飛び交うけれど、1番大きいのは罪悪感。


不自然すぎる口の挟み方をした上、車の鍵すら持っていかなかった。

明らかに逃げ出すための口実だってバレバレだったのに……。



「……ごめんね、ありがとう」

「いえいえ。それと、千葉さんとのことで誤解させちゃったの、解きたくて」



下げていた頭をパッと上げる。



「誤解……? 告白したんじゃなかったの?」

「うん。ん? 俺が告白? なんで?」

「ずっとうつむいてて無言だったから。話を振られたくなくて黙ってたんじゃないかって……」

「違うよ。黙ってはいたけど、あれは焼きそばに釘づけだったからで。俺が千葉さんのこと好きだと思ってたの?」

「えっ、違うの?」



面食らって瞬きを繰り返す私達。

予想の斜め上すぎる展開に、溢れかけていた涙も引っ込んでしまった。