「皆吉さんのところは夜道暗くない?」

「街灯があるからそこまでは。自転車のライトも点いてるし。……さすがに当日は乗れないけど」



ポソッと返すと、乃木くんの目が丸くなった。



「えっ、当日って……」

「うん。お祭り、行けることになったんだ」



大きく開かれた目を見つめ、ハッキリと伝えた。


昨夜、両親に相談したら『たまには息抜きしておいで』と丸1日お休みをもらったのだ。


ちなみに会場まではお父さんの車で行く予定。もちろん帰りも同じく。

といっても、運転するのはお母さんだけどね。



「良かったね! でも、お店大変じゃない? この時間帯ってお客さん多そうだけど……」

「大丈夫。毎年この時期は……」



ハッと我に返り、口をつぐむ。



「えっと、夏祭りに行く人が多いから、休日でも少ない人数で回せるの。ほら、屋台って色んな食べ物売ってるじゃない? そっちでご飯買う人が多いというか……」

「なるほど。そういや手島も、屋台でご飯済ませるって言ってたな」