「もしかして、罰ゲームで……?」

「違うよ! 決めたのは俺の意思! 本心だから!」



なかなか口を開かなかったので、まさか誰かに脅されて……? 思ったけれど、杞憂だった。



「その……手島達と俺らって、学区違うじゃん? もしどっちかが行かなかったら、帰り道寂しくなりそうだよなって」

「あぁ、そういえばみんなバラバラだっけ」



美男美女軍団の顔を思い浮かべる。


手島くんと千葉さんはバス通学で、ゆまと山谷さんは電車通学。

会場との距離を考えると、おそらく全員、通学の時と同じ交通手段。


解散した後、自分だけ1人で帰る……うん、寂しいな。



「俺んちの周り、自然に囲まれててさ。街灯がなくて真っ暗だから……」

「それは心細いね。もしかしてそれで親に送ってもらってたとか?」

「そうそう。冬限定でね」



なぜ車通学なのかがようやく腑に落ちた。


自然に囲まれた地域は、私が住んでいるところよりもうんと先。もし自転車通学なら、私以上に時間がかかってしまう。

乃木くんのことだから、時間短縮と体力温存のためにバスで通ってるのかも。