「そういえば、君も魔族みたいだけど」
「え!?」

 私の腕の中でメリーが甲高い声を上げ、ローサも目を丸くした。
 
「まさかとは思うけど、君、魔族たちと共謀してわざとコハルに」
「違う!!」

 カネラ王子が珍しく声を荒げた。
 そして自分でもその声の大きさに驚いたのか、焦るように再び視線を落とし小さく続けた。

「……それは、違う。俺は、ただ……」

(カネラ王子……?)

 その両の拳が強く握られているのを見て、エルはふうと短く息を吐いた。

「違うならいいけど。君もまた随分と面倒というか、損してるというか……まぁ、魔族の君だからこそ出来ることもあるんじゃないかな」
「え?」

 エルのよくわからない言葉に、カネラ王子は顔を上げて目を瞬いていた。

 そして、エルの優しい瞳がこちらに戻ってくる。

「とにかく、まずは竜帝くんに会わないとね」

 そうだ。
 早くリューに会って、早く誤解を解かなくちゃ。

「うん!」

 だってまだ、間に合うかもしれないのだから。