手が震えた。
 だって、もし本当に既に魔王が復活していて、リューがお父さんのように操られてしまったら、私はリューと戦わなくてはならない。
 あのとき……7年前はリューと協力してなんとかお父さんを助けることが出来たけれど、それでも、その数年後にお父さんは……。


 ――やはり魔王に操られていたことが大きな負担になっていたようでな。コハルが去った後、臥せがちになって……。


 リューの言葉を思い出して、私はメリーの身体をぎゅうと抱きしめていた。

「コハルさま……」

 と、エルの視線がカネラ王子に移った。

「君、本当に大変なことをしてくれたね」
「え……?」

 急に話を振られた王子がポカンと口を開ける。
 エルは見たことのない冷たい眼差しを彼に向けていた。

「今生きていられることを、コハルにもっと感謝したほうがいい。それと、もしこのままコハルについて竜帝くんに会いにいくつもりなら、殺される覚悟でね」
「……っ」

 流石のカネラ王子も青ざめた顔で視線を落とした。