「もしかして、眠っていたメリーを起こしたのって」

 あの夜、砂漠の王宮で誰かに呼ばれた気がして目を覚ましたというメリー。
 誰かって一体誰だろうと思っていたけれど。

「そう、僕だよ。“妖精の瞳”は、その名の通り僕の目と繋がっていてね」
「!?」
「本当はコハルが呼んでくれるまではと思っていたんだけど、あのときは流石にまずいなと思って」

 自分の目を指しながらなんとも楽しそうに種明かしをするエルに、じゃあ、これまでのこと全部ブローチを通してエルに見られていたということで、確かにお蔭で助かったけれど、でもそれってプライバシーの侵害では? とか、だったら先にちゃんと言っておいてよ、とか、色々言いたいことが一気に脳裏を駆け巡った。
 でも。

「本当にお手柄だったね、メリー」
「えっへん!」

 妖精王であるエルに褒められ思いっきり胸を張るメリーを見て、私は軽く溜息を吐くに留めたのだった。