「メリー!」
「痛いのです~! コハルさまぁ~~」
メリーは目を潤ませ、いつものように私の胸に飛び込んでくるつもりだったのだろう。
「ちょ、わっ!?」
ガバっといつもの勢いで抱きつかれた私はしっかり人一人分の重みに耐え切れず、そのまま無様に後ろに倒れ込んでしまった。
「いったた……」
「ご、ごめんなさい、コハルさま~」
間近でその姿を見上げて、改めて綺麗な顔をしているなぁと思った。
年の頃は高校生くらい。男の子にも女の子にも見える。
でも不安げに揺れるその大きくつぶらな瞳は確かにメリーのものだ。
と、そんな私たちを見ていたエルがクスクスと笑った。
「今までとは感覚が違うだろうからね。まぁ、すぐに慣れるさ」
「……それで、レベルアップってどういうこと?」
メリーと一緒に立ち上がりながら訊くと、エルは優しい笑みをメリーに向けた。
「コハルのためによく頑張っているからね。僕からのご褒美だよ」
目をぱちくりとさせるメリー。
「ご褒美……?」