(えーと……)

 どういうことかわからないけれど、この人はメリーらしい。
 何がどういうことかさっぱりわからないけれど、この綺麗な人がつい先ほどまでふわふわの可愛らしい姿をしていたメリーらしい。

 数十年眠ったままかもしれないと言われたメリーがこうして目を覚ましてくれてすごく嬉しいはずなのに、驚きが大きすぎて地べたに座り込んだままぽかんとその姿を見上げていると、メリーは眉を寄せた。

「コハルさま、どうされましたか? 涙が……あれ、そういえばメリー……ふぁ!?」

 そこで、漸くメリーは自分の姿に気づいたみたいだ。

「な、なんですかこれ! メリー、人になっているのです!?」

 自分の身体を見回しながらその場でぐるぐると回るメリー。
 その背後から楽しそうな声がかかる。

「『れべるあっぷ』ってやつだよ」
「は? ――よ、妖精王さまぁ!?」

 エルの存在に気付いたメリーは飛び上がって驚き、そのままバランスを崩したのか私の目の前で思いっきり尻餅をついてしまった。