涙をいっぱいに溜めた男の子が私を不安げに見上げる。

「聖女様……」
「大丈夫。すぐに治るよ」

 そう笑顔で言ってから改めてその子のお父さんを間近で見て私は顔を引き締めた。
 巻かれた包帯は真っ赤に染まっていてその顔は土気色。ゆっくりと胸は上下しているけれど意識はないようだった。
 このままでは死んでしまうという男の子の言葉は嘘ではないとわかった。

「メリー、お願い」
「はい!」

 男の子や周りの人たちが見守る中、メリーはお父さんの上でいつものようにくるくると踊り出した。
 お父さんの身体がキラキラとした輝きに包まれると、あちこちから驚きの声が上がった。
 その輝きが収まると、先ほどまで血の気のなかったお父さんの顔に生気が戻っていて私はほっとする。

「お父さん……?」

 男の子が呼びかけるとお父さんの目がパっと開き、メリーはびっくりして私の胸に飛び込んできた。