確かにメリーは癒しの力を持っている。
 傷を治すことも可能だ。

「でも……」

 こんな大人数に魔法を掛けたことなんてこれまで無いはずで。
 それでなくとも慣れない旅で疲れているはずなのに大丈夫なのだろうか。
 私が答えに逡巡しているとメリーは真剣な眼差しで続けた。

「メリーはコハルさまのお役に立ちたいのです!」
「メリー……」

 本当に、なんていじらしい子なのだろう。
 じんと胸が熱くなって、そのふわふわボディをぎゅうと抱きしめると、ボソっと低い声が聞こえた。

「それに、この人たちコハルさまのこと見くびっていてなんかムカツクので見返してやりたいのです」
「メリー……」

 相変わらず口が悪いなと小さく苦笑して、私はそんなメリーに言う。

「お願いメリー。でも、無理はしないでね」
「お任せください!」

 そう言うなりメリーは私の腕から勢いよく飛び立って行った。……かと思うと、すぐに私の元へ戻ってきて。

「コハルさまも一緒に来て欲しいのです……」
「勿論!」

 そして私はメリーを抱っこしたまま、先ほどの男の子の元へと向かった。