なんとか日が高くなる前に到着したそのオアシスには小さな村があった。
 そこの住人たちも王都の人々と同じようにカネラ王子の姿を見ると皆集まって来て私たちを歓迎してくれた。
 彼らに竜の姿を見なかったかと訊ねると、皆首を傾げるか横に振るかで肩を落としかけたけれど――。

「竜の洞?」
「はい。そう名のついた洞穴があると、聞いたことがございます」

 杖をついた白髪のおじいさんがカネラ王子にゆっくりとそう話してくれた。

「昔、そこに竜が棲みついていたとか」
「それはどこにあるんですか!?」

 思わず私が前のめりになって訊くと、そのおじいさんは驚いたのか目を丸くして固まってしまった。

「あ、ごめんなさい……」
「その場所は、ここから遠いのか?」

 カネラ王子が訊き直してくれると、おじいさんは再びゆっくりと口を開き話し始めた。