私は警戒を緩めずに口を開く。

「リューの行き先を知っているんですか?」
「いや、それはわかんないけど……あー、や、もしかしたらわかるかも?」
「なんだそれ」

 カネラ王子の曖昧な返答に鋭くツッコミを入れたのはメリーだった。
 私も全く同じことを思ったので、メリーが言ってくれて助かった。
 
「どっちにしても、聖女サマたちよりはこの国に詳しいし、それに……」
「それに?」
「一応、お詫びの気持ちっていうか」

 急にバツが悪そうに視線を外したカネラ王子を見て、思わずポカンとしてしまう。
 ……お詫びって、本気で言っているのだろうか?

「だから、俺も一緒に連れていってくれないかな」

 そんなふうに小首を傾げられて、私はローサと顔を見合わせる。
 ローサは最早呆れたような顔をしていて、きっと私も同じような顔をしているのだろう。
 
「コハル様、いかがいたしましょう?」
「……道案内してもらえるのは有難いけど」

 丁度この先どうしようかと考えていたところで、まさに“渡りに船”ではある。