「こんなことをしたって私は貴方のものにはなりません!」
「なんで?」
きょとんという顔で首を傾げられて、必死な思いで続ける。
「なんでって、こんなやり方で好きになるはずがありません!」
「別に、好きとかそういうのはどうでもいいかな」
「な……っ」
さらりと返ってきた言葉に絶句する。
「ここに、俺の子を孕んでくれたらそれでいい」
冷たい指先が私の下腹を撫でた。
「そうすれば、あの竜帝だってさすがに君を手放すでしょ」
その言葉に目を見開く。
――リューが、私を手放す?
「そしたら聖女サマは竜の国に居られなくなるだろうし、この砂漠の国の王妃になるしかない」
――竜の国に、居られなくなる……?
彼の言葉を、頭の中で反芻する。
リューは嫉妬深くて、私が他の男の人と話しているだけで不機嫌になるような人で。
もし本当に私がこのままカネラ王子の子を妊娠してしまったら、彼は……。