「聖女様ですか?」
「えっと……うん、一応」

 お姉ちゃんの方にもう一度訊かれ頷くと、彼女たちの顔がぱーっと輝いた。

「聖女様、砂漠の国へようこそ!」
「ようこそー!」

 その可愛らしい声に、カネラ王子を取り囲んでいた人々が一斉にこちらを振り向いてどきっとする。

「聖女様!?」
「砂漠の国へようこそおいでくださいました!」
「魔王を封印してくださって本当にありがとうございます!」
「聖女様!」
「聖女様!!」

 突然の歓迎ムードに驚く。
 勿論、7年前にはこんなことなかった。
 中には地面に膝を着いて手を合わせている人までいて、嬉しくないわけじゃないけれど逆にどうしていいかわからずに困惑してしまう。

「皆、聖女サマが困っているよ」

 そう苦笑しながら言ってくれたのはカネラ王子だった。

「皆の気持ちはわかるけど、聖女サマも長旅でお疲れだから早く王宮で休ませてあげたいんだ」

 その柔らかい口調に人々は納得した様子で私達から離れていき、再び王宮までの道が開けた。