リョウカが出入口から、ひょいっと顔だけ出した。


「いた!」

「いますよ、当然。当番なんで」

「早く来すぎたかも……って思ってたの」


 『ふふっ』と楽しそうに生物室に入ってきた。


 そんな心配は全く必要なかったよ。


 サクトは、絶対に昼食を大急ぎで食べたはず。


 昼休みがまだ半分以上も残っているような時間に生物室にやってきた。


 それからウロウロ歩き回ったり、水槽に残っている前日の餌をすくい取ったりしていた。


 私は『少し落ち着きなさいよ!』って、水の中から何度も怒鳴っちゃった。だって、サクトのせいでこっちまでソワソワしてしまうんだもの。


「せっかくなんで、他の生き物たちにも餌をあげてみませんか?」

「うん、やってみたい!」


 リョウカは、熱帯魚、どじょう、ゴンズイの順に餌を与えていった。そして、餌をまく度に生き物たちが寄ってくると、キャッキャと喜んだ。