「それね、まだ悩んでるんだ。ペットを飼おうと思ってる最大の理由が触れ合いたいからなの。でも、生物部で飼育している生き物たちって観賞するだけで、撫でて可愛がるのとは違うでしょ? やっぱり温もりがある哺乳類で、なおかつアレルギー症状が出ない子がいいなって思い始めてて……」


 うっ……それを言われちゃうと、反論はできない。


 『でも……』と言って、リョウカは私に目を向けた。


「ウーパールーパーが餌を食べるところはかわいかったー! もう1回見たいかも」

「!!」


 一瞬にしてサクトが高揚したのが伝わってきた。


「な、なら……」


 私は『がんばって!』と必死にエールを送る。


「なら、明日の昼休み、僕が餌やり当番……なので、」


 がんばれ! がんばれ、サクト!


「生物室に来ま……せんか?」

「えーっ、いいの? 嬉しい」


 ふー……


 やった、やったじゃないの! サクト、動物園や水族館には少しばかり劣るかもしれないけれど、生物室デートに誘えたじゃない。


 明日、私も気合いを入れて、餌を吸い込んであげるからね!