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 勉強を開始したものの、5分と経たずリョウカはサクトに話しかけた。


「どうして生物部に入ったの? やっぱり生き物が好きだから?」

「自転車通学? 電車通学?」

「お昼はいつもどうしてる? お弁当? 食堂?」


 次から次へと質問しているけれど、その内容はとっ散らかっている。


 リョウカってば、実は緊張しているんじゃ……?


「いっけなーい。私、岩藤くんの勉強の邪魔してるね。さっきから全然進んでないっ」

「い、いいんですっ! どうせ、いつも……」

「え?」


 勉強が捗らないのは、どうせ、いつものことだもんねー。


 そもそも手持ち無沙汰だから勉強道具を広げているだけで、勉強するために生物室にいるわけでもないし。


 リョウカは首を傾けながら、サクトが続きを話すのを待っている。


「ええっと……」


 サクトが弱った声を出した。


「と、ところで佐々井先輩は何をペットにするか決まったんですか?」


 あー、話を逸らしたな?