リョウカが無邪気な笑顔で首を傾げた。


「私もここで勉強していっていい?」


「えっ……」


 リョウカの言葉はサクトの耳にクリアに聞こえていた。ただ理解が追いついていないだけ。


「お菓子、わけてあげるから。ね?」


 そういうとリョウカは返事を待たずに、サクトの座っている机に隣の机をピッタリくっつけた。


 そして境界上に、リュックから取り出したチョコレート菓子をポンッと置いた。


「あ、あの……?」


 サクトは明らかに困惑していた。


 リョウカの行動があまりに唐突過ぎるから、無理もない。


 私ですら何が起こっているのか、訳がわからないでいる。


「あっ、それとも飴のほうがいい?」


 サクトの隣の席に座りながら、リョウカはリュックの中をごそごそ漁った。


「い、いえ、そうじゃなくて……」

「ひょっとして、勉強中はお菓子を食べない派?」

「そんなことはないです。キシリトールガムとか……」