「なーつか」

「雪奈」

友人の雪奈に名前を呼ばれて机に突っ伏していた顔をあげた。

今は昼休み。お昼ご飯を食べた後は大抵眠くなるので、次の授業に居眠りしないように私はこの時間に眠るようにしている。

「どうしたの?」

「ごめん!今日一緒に帰れない」

手を前に合わせて申し訳なさそうにする友人の雪奈はとても可愛らしい。

ふわりと巻いた色素の薄い髪、くりくりとした大きな瞳、ぷっくりとした唇。

庇護欲をそそられ、ピンクが似合い守りたくなるような可愛い系の美少女しかし、その実態は守られるなんて無縁の強さと笑顔で罵ってくる毒舌を持っている。

それが私の友人宮嶋 雪奈という子である。

それに対して、私、明苑 夏花は、黒髪で髪を三つ編みにして横に流し、細い縁の眼鏡をかけた地味な見た目をしている一般人。

「別に大丈夫だけど、なんか用事?」

「うん、委員会が入っちゃって」

「あー、生徒会?」

「うん」

しゅんと項垂れる様子はうさぎのようで可愛らしい。

雪奈は今現在生徒会に所属している。

なんでも、学年トップ3は生徒会に入る決まり
らしい。

それを知った雪奈は『めんどくさ』と笑顔で毒吐いていた。

それでも、仕事はきちんとやっているようだし、責任感は誰よりもあるのがこの友人なのだ。

「やっぱ生徒会大変だね、頑張れ」

「うん、ありがとう!本当にごめんね」

「いいよ、いいよ」

そんな会話をしているとちょうどチャイムがなって、いそいそと自分の席につく。

今日は1人か〜。近道して帰ろっかな。

なんてことを考えながら後の従業を受けたのだった。