自分からキスするのは、どうしても越えられない照れの高い壁がある。

晴人さんが目を閉じたのを確認して、ゆっくりと顔を近づけていく。

先程のキスよりも短く、すぐに顔を離す。

「…今はこれぐらいで我慢してあげるけど、夜は覚悟しておいてね?」

「うぅ…、お手柔らかにお願いします」

耳元で囁かれて、腰が砕けそうになる。

この時点で、すでに降参したい依里だった。