「悠長なお貴族連中はさぞビックリするだろうなぁ。俺たちからすれば、能力が勝っている人間が上に立つのは当然のことなんだが」

「あいつらなんて、たまたま良い身分に産まれたってだけの、大して取り柄もない人間ばかりだろ。あいつらを敬わなきゃならない理由も、従わなきゃならない理由も、特別な存在である魔法使いには一つもないっていうのに」

「まぁ、そんなお貴族様の大多数が、今夜の爆発の犠牲になるんだけどな。王族が消え、貴族の連中がいなくなりゃ、この国も変わるさ」


 邪悪な笑い声を上げる男たち。わたしは身が竦んだ。


(爆発……? この学園を?)


 広大な学園。その敷地内には今、五千を超える人間が集まっている。
 普段は手の届かない場所にいる尊き身分の王族や貴族たちが、わんさか集まっているのだ。


(殿下に知らせなくちゃ)


 このままでは大勢の人々が傷ついてしまう。国の体制を覆すという大義のもとに、関係のない人がたくさん殺されてしまう。

 そんなの絶対嫌だ。

 けれど、踵を返したその瞬間、誰かに腕をグイッと引っ張られた。