エルヴィス殿下っていうのはこの国の第二王子で、容姿端麗、文武両道。皆に優しくて、皆に愛される、絵に描いたような完璧な王子様だ。
まだ婚約もしていないから、貴族の御令嬢方はこぞって彼の側に付き纏い、虎視眈々と未来の王弟妃の座を狙っている。
彼にお近づきになりたい――――そんな女性が大挙し、生徒会が大変なことになるのを避けたかったって事情は分からなくもない。
エルヴィス殿下のことは、学園内で何度か目にしたことがある。いつ見ても、たくさんの人に囲まれて、キラキラしい笑顔を浮かべていた。
だけど、そんな表情すらわたしにとっては害悪。酷い胸やけを起こした記憶しかない。絶対にお近づきになりたくない人間ナンバーワンだ。
「そんな! 殿下がいるって事前に知っておいたら、生徒会の話なんて引き受けなかったのに」
「どうして? 殿下にお近づきになれるチャンスなのに。そっちの方が就職に有利だし、嫌がる要素なんて無いと思うけど」
「それは……そうなんだけど」
オースティンの主張はごもっとも。
王室にコネができれば、卒業時に国から指定される就職先の希望が叶いやすくなる。普通は『ラッキー』って喜んでいいお話だ。
まだ婚約もしていないから、貴族の御令嬢方はこぞって彼の側に付き纏い、虎視眈々と未来の王弟妃の座を狙っている。
彼にお近づきになりたい――――そんな女性が大挙し、生徒会が大変なことになるのを避けたかったって事情は分からなくもない。
エルヴィス殿下のことは、学園内で何度か目にしたことがある。いつ見ても、たくさんの人に囲まれて、キラキラしい笑顔を浮かべていた。
だけど、そんな表情すらわたしにとっては害悪。酷い胸やけを起こした記憶しかない。絶対にお近づきになりたくない人間ナンバーワンだ。
「そんな! 殿下がいるって事前に知っておいたら、生徒会の話なんて引き受けなかったのに」
「どうして? 殿下にお近づきになれるチャンスなのに。そっちの方が就職に有利だし、嫌がる要素なんて無いと思うけど」
「それは……そうなんだけど」
オースティンの主張はごもっとも。
王室にコネができれば、卒業時に国から指定される就職先の希望が叶いやすくなる。普通は『ラッキー』って喜んでいいお話だ。