とはいえ、本当に迷惑極まりないので、黙って我慢を続けるわけにもいかない。
 エルヴィス殿下には、もう一度、わたしの望みを正しく理解してもらう必要がある。

 そう思っているのだけど。



「セクハラは止めてください。訴えますよ」

「――――そんなことしたら、ザラの方が不敬扱いされるぞ」


 放課後の生徒会室。
 側近たちが不在なのを良いことに、殿下は今日もわたしの隣に腰掛け、頬っぺたや耳たぶを指先でそっと撫でている。まるで宝物を愛でるかのような手つき。何だか癪で、わたしは殿下の手を押しのけた。


「今も昔も、王族っていうのは何しても許されるんですねぇ」


 盛大なため息を漏らしつつ、わたしはそんなことを口にする。