お嬢様育ちのせいか、元々の性格なのか、母さんはわりとおっとりしている。
大声を出したり、ヒステリックに怒ったりすることもなく、どんな時も淡々としている。
そんな母も、尊人の話をすると驚いた顔をした。
「母さん、驚かしてごめんなさい。でも、これ以上隠しておくことはできなくて」
凛人の父が尊人であること。
尊人は三朝財閥の跡取りであること。
事実を隠していたのは私の責任で、尊人は何も知らなかったこと。
全てを包み隠さず私なりに精一杯説明をした。
母さんは頷きながら聞いていた。
「ごめんね、母さん」
自分で生きていくなんて言って大学入学と同時に家を出たくせに、困れば実家を頼る。
よく考えれば私は親不孝な娘なのかもしれない。
そう思うと、申し訳ない気持ちになった。
「私はね、沙月が幸せになってくれればいいのよ。それ以上は望まないわ」
母さんの言葉はうれしかったし、素直に感動した。
同時に私も同じように凛人を愛せているのだろうかと考えて、首を振った。
「ねえ、母さんはどうして父さんとの結婚を選んだの?」
この際だからと、私は昔からずっと気になっていたことを母さんに聞いてみることにした。
お嬢様育ちの母さんには、お金に苦労することもなくもっと楽に生きる方法がいくつもあったはずだ。
それなのに、わざわざ実家から絶縁されてまで父を選んだ母さんが子供心にも不思議で仕方なかった。
その真相をいつの日か母さんに聞いてみたいと思っていた。
大声を出したり、ヒステリックに怒ったりすることもなく、どんな時も淡々としている。
そんな母も、尊人の話をすると驚いた顔をした。
「母さん、驚かしてごめんなさい。でも、これ以上隠しておくことはできなくて」
凛人の父が尊人であること。
尊人は三朝財閥の跡取りであること。
事実を隠していたのは私の責任で、尊人は何も知らなかったこと。
全てを包み隠さず私なりに精一杯説明をした。
母さんは頷きながら聞いていた。
「ごめんね、母さん」
自分で生きていくなんて言って大学入学と同時に家を出たくせに、困れば実家を頼る。
よく考えれば私は親不孝な娘なのかもしれない。
そう思うと、申し訳ない気持ちになった。
「私はね、沙月が幸せになってくれればいいのよ。それ以上は望まないわ」
母さんの言葉はうれしかったし、素直に感動した。
同時に私も同じように凛人を愛せているのだろうかと考えて、首を振った。
「ねえ、母さんはどうして父さんとの結婚を選んだの?」
この際だからと、私は昔からずっと気になっていたことを母さんに聞いてみることにした。
お嬢様育ちの母さんには、お金に苦労することもなくもっと楽に生きる方法がいくつもあったはずだ。
それなのに、わざわざ実家から絶縁されてまで父を選んだ母さんが子供心にも不思議で仕方なかった。
その真相をいつの日か母さんに聞いてみたいと思っていた。