凛人の出生について真実を知った尊人はすぐにでも母さんに挨拶がしたいと言ったけれど、私が止めた。
倒れたばかりの母さんにあまりショックを与えたくはないし、きちんと自分の口で伝えたかった。
それでも早く真実を明らかにしたい尊人は、「今夜一晩だけ待つが、明日の朝にはご挨拶に来るからそれまでに話をしておいてほしい」と言って帰って行った。

「明日の朝までにねえ・・・・」

5年も言えなかったことをたった一晩で伝えろなんて、かなり無茶な気もする。
もちろんこれも自業自得だろうとは思うけれど、母さんがどんな顔をするのかと思うと少し気が重い。

「あら沙月、付き添ってくれていたの?」
「う、うん」

外が暗くなってから、母さんはやっと目を覚ました。

「ここ、随分広いお部屋ね」
やはり母さんもそのことに気が付いたようだ。

「あの、母さん。実はね」

これ以上誤魔化すことはできないだろうと、私はすべてを打ち明ける決心をした。