やってきたのは空き教室。



少女漫画でよくありがちな、壁ドンというやつをされていた。



…今どき壁ドンとか、正直古すぎて引くわ。



「…なんのこと、でしょうか?」



そう言いたいのをグッと堪えて、笑顔を取り繕う。



「いや、わかるでしょ。そんな見え見えの嘘よくつけたよね」



でも、椿くんは全く騙されてくれない。



鼻で笑って、私のことを見下ろしている。



普通の男なら、私と目を合わせるだけで赤面するのに…なんでこいつはちっとも赤くならないわけ?



今まで信じてきた自分の顔の良さは、椿くんの前だと通用しないとわかって勝手に悔しくなる。



それでも、ここで折れるわけにはいかないの。



「もしそれがホントだとして…なんであなたに言う必要があるの?関係ないですよね?」



赤の他人の椿くんが、そこまで私に介入してくるなんておかしいよね?