「公安って、確か警察よね?」

「ああ。でも普通の警察とは違って、表立って動かずにテロ組織などの捜査をする機関だったはずだ」

困惑した様子のナタリアに、モニカが眉を顰めながら言う。男性は『アハハ、頭がよくて体力のあるeagleでも、さすがにわかんないよね〜』と言った後、桜士が心の中で「言うな」と叫んでいたことを告げる。

『君たちと今一緒にいる本田凌って男、ただの医者じゃないよ。ていうか、その名前偽名だし。本当の名前は九条桜士。公安で暗躍して国に尻尾を振ってるワンちゃんさ!』

そう男性が言った瞬間、部屋の空気が一瞬にして凍り付く。オリバーとアルフレッドが「マジ?」と顔を見合わせ、アルオチが息を飲み、クラウディオは信じられないと言った様子で桜士を見る。

『あっ、自己紹介してなかったね。僕はイエティ。そこのワンちゃんが必死に追いかけて捕まえようとしてるCerberusの幹部だよ。びっくりしたよ〜。まさか、公安警察が潜入捜査してる病院にゴールデンブラッドの持ち主、しかもeagleのメンバーがいたなんてさ!』