『ゲームをしようよ!囚われたお姫様をヒーローたちが助けるゲーム!君たちが勝ったら四月一日先生を返してあげてもいいよ?』

イエティが何を言っているのか、桜士には理解ができなかった。人を無理やり誘拐しているというのに、ゲームなどあまりにもふざけている。

「お前、いい加減にしろ!」

桜士が再び怒鳴り付けると、イエティは『怖〜』と笑う。それはまるで、小さな子どもが買ってもらったばかりのおもちゃで遊んでいるような楽しげな声だった。

『四月一日先生の居場所を二十四時間後に教えるよ。場所はスマホと一緒に入れた紙に書いてあるよ。会えるの、待ってるね〜』

そう言った後、電話が切れる。桜士が「おい、イエティ!」と大きな声を出しても、全員の耳に届くのは無慈悲な機械音だけである。そんな中、アルオチがその場に崩れ落ちた。

「そんな……一花が誘拐されたなんて……」

「ここへ来るように送られたメッセージは、一花本人が打ったわけじゃなかったんだ……」