「悪魔は人間達を騙すことに快感を覚え、儲けがいい事に気がついて、禁忌図書館の鍵を自ら捨てたの」



悪魔は人間をいいように使って、今も人間達を不幸に陥れ蜜を啜って生きているみたい。




悪魔は「禁忌図書館」の情報をいいように使って騙し、危険な情報を人間界に垂れ流したあと「神々の泉」に捨てた。




小さな精霊が宿るその泉に、蛇はやっとの思いで駆けつけ周りの草木をロープ状に繋いで鍵を掬い手元に戻したんだって。




「なんで神様はその時、神々の泉にいて奪い取らなかったの?」




「神様は面倒くさがりな性格だって言われてるから、移動するのが嫌だったんじゃない?それに、蛇がした事をちゃんと反省させるために手を加えなかったって事も考えられるし」




「………うーん。納得できないな……なんだか変な感じ………」




「まぁ、神様の考える事は神様しかわからないのよ。他人が何を考えているのか分かんない感じってことよ」




僕は首にかけた、「鍵」を指で弾く。




キーンと涼やかな音が、部屋を飛び回る。




「鈴みたいだね」


「有馬、あなたにねこの鍵を守ってほしいの。もう百年間も生きているのだから責任を一つ与えてもいいかなってお父さんと話し合ったのよ」



涼しい顔をしながら寝ている、お父さんの表情からはそんな事情は読み取れなかった。




「どうして守る必要があるの?」



こんな悲惨な事件を広めてしまった、蛇たる僕が持っていいような代物でもない気がするけれど……。



「罪を償う為ーーといったほうが、わかりやすいかもしれない。私たち先祖代々から、その「蛇族の罪」を償う為に頭を凝らしながら「禁忌図書館」の情報を漏らさないように大切な鍵は管理してたの。自主的にね」