わたしは首をぶんぶんと横にふって、

「それはないよ! 岸くんのダンスが凄かったからだよ!」

 って否定したけれど。


「いや、前にも言ったけどさ、つむぎがいいアクセントになってるんだって」


 暗示にかかってるから当然といえば当然だけれど、岸くんはどこまでもわたしを肯定してくれる。


「たしかに、つむぎちゃんが話題になってるわよ。コメントついてるもん」


 自分のスマホで岸くんの動画を見ていた佐々木さんが、コメントを読みあげる。


「『うしろの女の子が気になる』『花壇で水やりしてる子がイイ感じ』『いつものワイルドな動画と違って、今回は女の子がいるから、やさしい印象ですね』だって!」


 ええっ!? なんか恥ずかしいよ!

 みんな、岸くんのダンスに集中してよ!


「なっ、つむぎのおかげで、イイ動画になったんだよ」


 岸くんがウインクしてきたから、わたしは、胸がきゅんとした。

 苦しいけれど、決してイヤではない、せつないキモチ――。


「つむぎにお礼したいからさ、これからどっか行かね?」

「えっ……?」


 みんながいる前で、岸くんが誘ってきた。